染料を注ぐ=気を込めること

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新しい年に入りました。
今年もみなさまにとって健康で幸多い1年になりますようお祈り申し上げます。

今年はあらためて原点を確かめつつ前進していきたいと思っております。
そこでbreezyblue の活動のエネルギー源「手で染める」ことについて思いを綴ってみました。

社会人になりたてのころ、
夏の浴衣を新調する為立ち寄った百貨店の夏の浴衣イベントで、多くの種類の浴衣を目に触れたとき白地に紺の染めの浴衣に吸い寄せられました。
江戸の老舗の染め工房のものでしたが、それが「注染」との出会いでした。
不思議な引力を感じる「注染」の魅力に捉えられた瞬間です。
それをきっかけに注染の浴衣の反物の収集を始め、浴衣や服を作るということをはじめました。

注染は型紙を彫り、糊で防染し、染料を注ぐという
気の遠くなるような超アナログな手作業です。
そして生まれた浴衣地の反物はプリントでは出せない奥深い強さと魅力を放ちます。
プリントの浴衣と注染の浴衣を並べてみると一目瞭然で
この伝統的な技術に引き込まれそれを作り出す人に会いたいと思ったのが
breezyblue を始めるきっかけです。

注染は一つの工程を一人で担っていてそれぞれがそのパートのスペシャリストです。
防染のりを置く人、染料を注ぐ人、生地を洗う人
その熟練の業の連携を何段階も経て1反の浴衣地が出来上がります。
この工程をこなすのは広い場所と莫大な量の水と染料と設備が必要です。

とくに染料を注ぐ工程は色の出方を調整しながら染めるため
長年の感と瞬発力がものをいいます。
とくに注染の色出しは難しく毎回オーダーした色ぴったりにあげるのは
どんなベテランさんでも困難です
そこに手染色=注染の手作業の面白さがあると思います。

やがて、実際に工場に伺い染めの現場を目にする機会を得て
現場を見た瞬間「図案を描いてみたい」と思い、すでにその場で工場長に直談判をしていました。

そして注染の浴衣地の記念すべき第1号がこちらの図案です。
この時に工場に作っていただいた伊勢和紙の型紙は10数年経った今も現役で活躍しています。

手で染料を注ぐ「注染」以外にもbreezyblue では様々な手染色の手法を取り入れています。
工場や染め職人さんとの協業、デザイナー竹澤自身が手がける手捺染、引き染め、浸け染め。
機械によるプリントでは出せない手染色ならではのニュアンスは手描きの絵と同じく色と図案の発する力を感じます。

染料を注ぐ、手で染め付ける=気を入れる作業です。
みなさまに届くことを願いつつ、今年も作業を進めてまいります。

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